『続明暗』
水村美苗が、漱石の絶筆となった『明暗』の続編を書いて、それが受賞していたなんて知らなかった。
というわけで、『明暗』を読み直してからの『続明暗』が寝る前のお楽しみだったのに終わってしまった。
これは…。
漱石門下生たちがご存命のご時世だったら(その時受賞なんてしていたら)、
揃って激昂して大変な騒ぎだろうなとまず思う。百閒、言葉がうまく出なくて憤死。
水村美苗ははさみをバッサバッサと入れて、自分好みの現代的な話にしてしまった。
漱石版では、強気ながらもまあまあ日本の妻らしく大人しくしていた延子だが、
水村版では「延子は男がたじろぐような妙な勢いを有った女であった。」と、夫のいる温泉宿に押しかける。
えっそうだったの?という感じで、登場人物が(特に女が)塗り重ねられていて、面白い。
自由な清子は、自由だが正義感のある清子に。金持ちの吉川夫人は、金持ちの上に嫌らしい吉川夫人に。
一方漱石は男たちが面白い。
反社会的な小林君は、漱石版の方が生き生きしている。(反社会的という事がまだ珍しい時代だったからかも
しれない。)
主人公の津田にお金を借りに来たくせに、
「お前にもらうんじゃない、お前の〈余裕〉にもらうんだ」と言い出して、津田が「じゃあ返せよ」というと
「〈余裕〉は僕に返せとは言わない」と返さない。面倒くさいやつ。
そんな小林君の「サンクス。」はちょっとかわいい。
色んな作家の『続明暗』アンソロジーがあったらいいなあ。
というわけで、『明暗』を読み直してからの『続明暗』が寝る前のお楽しみだったのに終わってしまった。
これは…。
漱石門下生たちがご存命のご時世だったら(その時受賞なんてしていたら)、
揃って激昂して大変な騒ぎだろうなとまず思う。百閒、言葉がうまく出なくて憤死。
水村美苗ははさみをバッサバッサと入れて、自分好みの現代的な話にしてしまった。
漱石版では、強気ながらもまあまあ日本の妻らしく大人しくしていた延子だが、
水村版では「延子は男がたじろぐような妙な勢いを有った女であった。」と、夫のいる温泉宿に押しかける。
えっそうだったの?という感じで、登場人物が(特に女が)塗り重ねられていて、面白い。
自由な清子は、自由だが正義感のある清子に。金持ちの吉川夫人は、金持ちの上に嫌らしい吉川夫人に。
一方漱石は男たちが面白い。
反社会的な小林君は、漱石版の方が生き生きしている。(反社会的という事がまだ珍しい時代だったからかも
しれない。)
主人公の津田にお金を借りに来たくせに、
「お前にもらうんじゃない、お前の〈余裕〉にもらうんだ」と言い出して、津田が「じゃあ返せよ」というと
「〈余裕〉は僕に返せとは言わない」と返さない。面倒くさいやつ。
そんな小林君の「サンクス。」はちょっとかわいい。
色んな作家の『続明暗』アンソロジーがあったらいいなあ。
by watanabeyukow
| 2012-10-08 16:16
| Diary
わたなべゆうこ のブログ
by watanabeyukow
カテゴリ
ProfileWorks
Picture books
DIY picture books
Diary
Exhibition