人気ブログランキング | 話題のタグを見る

アザミ


去年の夏、クリスマスツリーが枯れた。

(芯はまだ生きていて、春が来たら復活するかもしれない)

(春はだめだったけど、梅雨で復活するかもしれない)

と、期待をずるずる持ち続けたが、茶色の枝から新芽が出てくることはなかった。

完全に干からびていることを認めざるを得ない。

朝食前にのこぎりで枝を落として、大きな根を抜いた。


朝食を食べながら、空いた植木鉢に次何植えるかを考える。

2メートルほどもあったツリーなので、植木鉢も直径35cmと巨大だ。何でも入る。

チビ子は「木を植えたい」と言う。

柿の木は枝の角度がかっこいい。山椒、月桂樹だったら料理にも使える。

でも木はまた枯らしてしまいそうだから、家庭菜園用の鉢にした方がいいかもしれない。

花ならどうか。色々な種類の青い花を一緒に植える。


チビ子は学校へ行き、仕事をしている時に、近くの道にアザミが咲いていたのを思い出した。

道沿いにある、公文書館の敷地に生えているアザミの種が飛ばされてきたものだ。

アザミが欲しい。

仕事がひと段落してから、スコップを持って掘りに行った。


敷石の間に縦にスコップをさして根を掘り起こす。

巨大なアザミで根が深い。葉っぱも茎も棘だらけで痛い。なかなか取り出せない。

「奥さん、すごいね。」という声がして振り返ると、70位のおばさんが自転車を止めて見ていた。


「私もこないだ鳴沢の国立公園行ったとき、野百合を抜いてきたのよ。

主人は、国立公園なんだから泥棒だよって言ったけど、2,3株ならいいよねえ。

よくある西洋の百合じゃないのよ。昔からある百合。

家に持って帰って植えたら、ちゃんと根っこついてね、今も咲くよ。

これはりっぱなアザミだねえ! 私もここのアザミいいなあって思ってたのよ。

前に切り花で持って帰ろうとしたんだけど、痛くて触れなかったよ。」

「同じ気持ちの方がいて嬉しいですよ。アザミいいですよね。」

「私も、あれぇ、同じこと考えてる人がいると思ってさ。」

「この中にたくさんあるんですよ。前に、銀杏取りたいから入れてくれって言ったら、入れてくれましたよ。

 聞いたら取らせてくれると思います。」

「そうなの?私も今度やろう。」

おばさんは、自転車を引いて公文書館の方へ行き、柵の中を指さして何かを言っていた。

遠くて、何を言っているのか分からなかった。


アザミの根はところどころ切れたが、何とか掘り出して持ち帰り、植木鉢にいれた。

定規で測ったら、土の上の部分だけで65cmもあった。

雨がたくさん降って、湿った土の中に根がはっていくことを願う。

アザミ_a0244523_2285696.jpg

by watanabeyukow | 2014-07-03 22:09 | Diary


わたなべゆうこ のブログ


by watanabeyukow

カテゴリ

Profile
Works
Picture books
DIY picture books
Diary
Exhibition
mail

その他のジャンル

記事ランキング