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読書クラブ


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                              (『The Burden』 Mary Westmacott)



読書クラブ部長より、本を見せられる。

部長は英語教師であったので、原書を見せるなり同時通訳し始める。


「“シャーリーが不幸せだからと言って、それがどうした?ほとんどの人はそんなもんだ。

生きている間は、不幸にとことん付き合わねばならない。他の事もそうだがね。

この世を生き抜くためには勇気が必要、勇気と陽気さだね。”…これは見せなくちゃと思って。」

「物事に立ち向かう勇気と快活さか!その二つは何か近いような気がする。強いね。」

「暗いっていうのは自己憐憫とか、ちょっと負けちゃっている感じがするもんね。

 アガサ、優しい人だけど、人生についてかなり冷めた目で見ているよ。

 …アーチ―との事が相当響いていたのかしら。」


今、読書クラブには、「エンタテインメント・ミステリだけではないアガサ・クリスティ」ブームが来ている。

晩年に書かれたアガサの自伝、及び「メアリ・ウェストマコット」名義で書かれた文芸小説6作品を

それぞれ読んで、その感想を語り合うのだ。


アガサには理数系の頭の良さがあり、人間観察が鋭い。

正義感が強く、育ちの良いイギリス人らしいプライドを持っているのと同時に、

(本を大量に出版しているのにかかわらず)「自分を作家とは思えない」と言ってしまう正直さや、

自信のなさも含めてチャーミングだ。アガサ自身を知るほどに、アガサ熱は高まる。

ちなみに、アーチーはアガサの最初の夫。


「生きていて、不幸知らずな人間なんて居ないって言われると、むしろ慰められるわ。」

「本当。皆色々あるよね。それなのに、人と比べて、ひがんだり妬んだりする人はどういうこっちゃい。」

「それぞれの人生なんだから比べられないよね。比較する共通項もないし。選んできたのは自分だし。」

「同じことが起こったとしても、人によって受け取り方も違うだろうしね。

自分だけが超不幸だ!って思うか、まあ、こんな事もあるよねって思うかは、自分次第だよな。」

「そもそも、幸せとか不幸せとか自体、よく分からない。」

「分からないよ。そんな尺度のないもの。それに、そんなに人と比べたいなら、

パレスチナ、ガザ地区の人々と比べてみやがれってんだ。」

「あー、ひどいことになってるよねえ。」

「死者の20パーセントが子どもだって!」


んだんだ、ひでーなー、と納得し合って、約二名の部会は終了。


本日のお言葉。

“Courage and a gay heart.”
by watanabeyukow | 2014-07-16 23:27 | Diary


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