人気ブログランキング | 話題のタグを見る

『カンタ!ティモール』

友人に教えてもらって、国分寺のカフェ・スローの自主上映会を観に行く。

映画の間中ひどく涙が流れたので、

終わった後、友人に「顔の様子がおかしいよ。お風呂に入ったあとみたいだよ」と言われた。

言葉にならないものが溢れた。

人が人を救うとはこういうことだ。

この気持ちは言葉にはならないので、

映画の中に出てきた東ティモールの人の言葉を以下に記しておこうと思う。



「僕らは過ちを犯す 大地はそれを許す」

「何が正しいかは人間じゃない 大地が知っている」

「憎んじゃだめだ 叩いちゃだめだ  戦争は過ちだ 大地が怒るよ」

「お前が暮らす大地を敬いなさい そうすれば人々はつながることができる」

「世界の指導者よ 民衆に平和を もうやめるんだ 頭の中の欲望を追うのは」

「戦いは続いている 希望を持て」

「世界中の小さな声を代弁して歌うんだ」

「怒りを持ったままでは前に進めない 怒りを持ったままでは病気が治らない」


映画の後、監督が、311以降に送られてきた東ティモールのアレックスからの手紙を紹介してくれた。


「僕らは地下資源をめぐる戦いを経験したから、原発の問題がどんなに複雑で難しいか知っている。

だが、原発は乗り越えるべき試練だ。たとえ仲間が10人、敵が1000人でも、命に沿った仕事には

亡くなった人たちがついていてくれるから大丈夫。それでも負けそうだと思ったら、

東ティモールという小さい国が、27年の弾圧に奇跡的に勝ったことを思い出してほしい。」




〈スローライフのヒト〉とか、〈ナチュラル系のヒト〉とかは、そんなに目新しい素敵なものではなくて、

日本人は昔から普通に自然と上手く共存して生きていた。

私は大学の卒業制作で、宮崎県の椎葉村に口承で伝わる山の神様に捧げる歌を録音して、

歌詞を書き起こすという作業をした。美大だのに。 でも、その時にそのことを学んだ。

御神楽の歴史が古いことで知られる椎葉村だが、山の奥で交通手段も乏しく、

若者は中学を出たら都会へ行くので、村は過疎化していた。

村は取り残されて歌は守られた。

口承で伝わる生きている歌を歌えるおじいさんおばあさんは、どんどん亡くなっていきつつある頃だった。

山へ入るときの歌、狩りをする時の歌、山の尾根を飛ぶように走る時の歌、

稲を刈るときの歌、あの人にしか歌えない歌、歌ってはいけない歌もあること。

それはおとぎ話のようにも、良く知っている当然の話のようにも聞こえた。

きっと特別な事ではなくて、普通に日本人のDNAに組み込まれているものなのだと思う。


監督が東ティモールにいたとき、

「自然から遠く離れて都会で暮らしているので、自然を感じることは難しい」と長老に言うと、

長老は「お前がいつも飲んでいる水を流してくれる山の名前は何だ」と聞いてきた。

その山に祈りを捧げてくれようとしたらしい。

「知らない」というと、長老は、

「それは良くない。お前はその山に生かされている。帰ったら山にお礼を言いなさい。」と言った。


監督は、

「帰国してから水道がつながっている木曽山麓にお礼に行きました。

それから、水を飲むたびに自分とつながっている山の事を思い出します。」

と、大地とつながる方法を教えてくれた。

http://www.canta-timor.com/
by watanabeyukow | 2013-07-02 01:09 | Diary


わたなべゆうこ のブログ


by watanabeyukow

カテゴリ

Profile
Works
Picture books
DIY picture books
Diary
Exhibition
mail

その他のジャンル

記事ランキング